印鑑登録を夫婦や家族で同じ印鑑で実印登録できるか解説

印鑑登録する実印ってとても大切なものです。

夫婦など信用できる家族内で同じ実印を登録することができれば、複数の実印を管理しなくても良いし、効率的なのではないか?

と考えている人もいるようです。

まず、結論からお伝えすると原則として夫婦や家族で同じ印鑑を実印として登録することはできません。

もちろん原則があれば例外もあります。

ここでは、夫婦などの家族で同じ印鑑を実印登録できるのかどうか、また、そのメリットデメリットについて考えていきます。

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これについて他サイトでいろいろな意見がありますが、私の市役所での印鑑登録実務経験からの見解をお伝えしています。

同じ印鑑を登録できないとは条例に規定されていない

印鑑登録事務は、法律で規定されているものではなく、各市区町村の条例で規定されています。

そのため、市区町村によって異なることがあります。

とはいえ、ある程度は統一性を持たせるために国から通知をもとに条例を作成しています。

一般的に印鑑登録できない印鑑として書かれていることを簡単にまとめると次のようになります。

登録できる印鑑についての詳細は「登録できる印鑑を徹底解説」を参考にしてください。

一般的な条例の内容

  • 氏名、氏、名、通称を組み合わせていないもの
  • 職業、資格などの肩書が入っているもの
  • ゴム印など変形しやすいもの
  • 印影の大きさが8mm四方に収まるものや25mm四方に収まらないもの
  • 印影が鮮明でないもの
  • その他市長や区長などが不適当と考えるもの

条例には同じ印鑑を使ってはいけないとは書かれていません。

その他、「登録できる印鑑は1人1個に限る」との規定もありますが、これも当てはまりません。

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1つの印鑑は1人にしか登録できないと書いているサイトは、これを勘違いして解釈していると思われます

実務上は同一世帯の人間に同じ印鑑を登録させていない?

私が勤務していた市役所では、同じ世帯の家族で同じ印鑑を登録することを認めていませんでした。

これは、先ほどの条例でいうところの「その他市長や区長などが不適当と考えるもの」に該当するところですね。

印鑑登録は大切な法律行為に使われるものですから、トラブルや不利益から市民を守るという考えが重要になります。

しかし、登録する印鑑と、すでに登録されている住民すべての印鑑と照合することは現実的に不可能です。

そこで、住民登録がベースになっている印鑑登録事務で考えると、同一世帯の家族内の印鑑と照合するというのが現実的だったということです。

「役所には実印は1つでないといけないという考えがある」と書かれているサイトもありますが、そもそもそれはありません。

なぜなら、100均の三文判を実印登録している人など山ほどいるからです。

夫婦や家族で別の日に印鑑登録に行けば登録できる?

このように書いているサイトもいくつかありますが、実務をやっていた立場からすると…

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いや、ちゃんと世帯内の家族の印影を確認してから登録しています(笑)
しかし、よほど勉強不足の職員や新人だった場合などチェックが不十分で見逃している可能性はあり得ます。

印鑑登録事務は、前身となる制度から考えるととても古い制度です。

その時代であれば、各人の印影をチェックすることは非常に難しかったと思いますが、コンピュータ化が進んでいる現在では、同じ世帯の家族の印影を確認することはそれほど難しいことではありません。

世帯を分ければ夫婦でも同じ印鑑を登録できる!?

ここまでで説明したことを踏まえると、夫婦で同じ印鑑を登録すること原則できないということになります。

住民票の世帯とは、自分の意志で決めることができます。

夫婦であっても世帯分離の届けをすることで別の世帯とすることは可能です。

つまり、私が以前勤務していた市役所であれば、世帯を分ければ夫婦や家族で同じ印鑑を登録することができることになります。

印鑑登録事務は、市区町村によって取り扱いが異なることがあります。
世帯が別であっても住所が同じ場合、同じ印鑑では印鑑登録できないとしている市区町村もある可能性があります。

夫婦が同じ印鑑を登録する危険性

夫婦や家族で同じ印鑑を登録できたとして、そのデメリットについても知っておく必要があります。

夫婦であってもなりすまし契約ができてしまう

仲の良い夫婦であってもすべての事柄に対して同じ考えを持っているとは限りませんよね。

妻が夫に内緒で、自分の意見をとおすための契約を夫の名前で実印を押して重大な契約をしてしまうこともできてしまいます。

他にも、パートナーを貶めるために金銭消費貸借契約を結んでしまうケースなども考えられます。

そして、そのあと逃げてしまえば、裁判で争われたときに印鑑証明書を請求しても、夫の印鑑証明書の印影と契約書の印影が同じという結果が出てしまいます。

夫は自分で契約したものでないことを自分で証明しなければならなくなってしまいます。

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一緒に生活している夫婦なら、同じ印鑑に限らず印鑑や印鑑証明を入手することはそれほど難しくはないかもしれませんけれど

不動産購入時の共有や連帯債務を負うローン契約は難しい

不動産を購入するとき、夫婦共有名義で購入することがあると思います。

売買契約の席で、ふたりの人間が実印を使いまわしているのを見て、相手方はどう思うでしょうか。

印鑑証明書が添付されたとしても、かなり不安になりますよね。

また、不動産購入に関連して住宅ローン契約を締結することがあります。

夫婦が共有名義でローンを組んだり、連帯債務者として契約に参加することも多くあります。

本来、法的にはローン契約に実印が必須ではありませんが、多くの金融機関で実印が求められます。

それは、実印を使うことで意思表示を明確にして、契約の信用性を高めるために求められているのですから、そんな場面で夫婦が同じ実印を押印したら金融機関はどう感じるでしょうか。

信用できない契約として、ローン契約の締結を拒む可能性も考えられます。

そういったデメリットを踏まえてでも、夫婦で同じ印鑑を実印として登録するのであれば良いですが、安易な判断であるのならおすすめはできません。